水口(読み)ミズグチ

デジタル大辞泉 「水口」の意味・読み・例文・類語

みず‐ぐち〔みづ‐〕【水口】

《「みずくち」とも》
水を引き入れたり、放出したりする口。みなくち。
台所の水をくみ入れるための口。また、台所。
「―のガラス戸に、日ざしがくっきりと」〈万太郎・露芝〉

みなくち【水口】

滋賀県南東部、甲賀こうか市の地名。近世は加藤氏城下町東海道宿場町住宅地・工業地化が進む。

み‐な‐くち【水口】

《「な」は「の」の意の格助詞》田に水を引き入れる口。みずぐち。

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精選版 日本国語大辞典 「水口」の意味・読み・例文・類語

み‐な‐くち【水口】

  1. [ 1 ] ( 「な」は「の」の意 ) 川をせきとめて田へ水を引き入れる口。みずくち。
    1. [初出の実例]「みなくちに我や見ゆらんかはづさへ水の下にて諸声になく」(出典:伊勢物語(10C前)二七)
  2. [ 2 ] 滋賀県甲賀市の地名。江戸時代は東海道五十三次土山と石部の間の宿駅、加藤氏二万五千石の城下町として発達。茶・干瓢産地で、近年は電気・化学工場が進出水口神社などがある。
    1. [初出の実例]「勢田うなぎに身をやしなひ、水(ミナ)口の泥鰌汁も此たびのためならん」(出典浮世草子・色里三所世帯(1688)下)

みず‐くちみづ‥【水口】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「みずぐち」とも )
  2. 水を引き入れる口、または落とす口。水の出る口。みなくち。
    1. [初出の実例]「Mizzuguchi(ミヅグチ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「水口にとくるや今朝の氷餠〈春可〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一)
  3. 台所の水をくみ入れる口。また、台所。
    1. [初出の実例]「大柱、吊り物にて水口を見せ」(出典:歌舞伎・浮世柄比翼稲妻(鞘当)(1823)大切)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口
みなくち

滋賀県南部、甲賀郡(こうかぐん)にあった旧町名(水口町(ちょう))。現、甲賀市の一地区。1894年(明治27)町制施行。1955年(昭和30)貴生川(きぶかわ)町と伴谷(ばんだに)、柏木(かしわぎ)の2村を合併。2004年(平成16)土山(つちやま)町、甲賀(こうか)町、甲南(こうなん)町、信楽(しがらき)町と合併、甲賀市となる。旧町域は、野洲(やす)川中流域の段丘に位置している。中心地区は、近世は加藤氏2万5000石の城下町、また東海道の宿場町として繁栄した。現在も3筋の道路からなる紡錘形の特殊な町並みをしている。JR草津線、信楽高原鐵道、近江鉄道(おうみてつどう)本線や国道1号、307号などが通じる。近江米、チャ栽培などの農業が主体であったが、近年は各種の工業の進出や住宅地化が著しい。水口茶、水口かんぴょう名産八坂(やさか)神社本殿など国指定重要文化財が多い。水口城跡および水口城資料館、庭園が有名な大池(だいち)寺、甲賀市水口歴史民俗資料館、総合運動施設「水口スポーツの森」などがある。

[高橋誠一]

『『水口町志』上下(1960・水口町)』


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百科事典マイペディア 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口[町]【みなくち】

滋賀県南部,甲賀(こうか)郡の旧町。野洲(やす)川の中流域を占める。中心は東海道の宿場町で城下町として発達した水口で,郡の商業の中心。南部の貴生川(きぶかわ)は草津線が通じ信楽(しがらき)高原鉄道と近江(おうみ)鉄道の分岐点。茶を多産し,特産にかんぴょうがある。2004年10月甲賀郡土山町,甲賀町,甲南町,信楽町と合併し,甲賀市となる。68.93km2。3万6819人(2003)。
→関連項目柏木御厨

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口
みなくち

滋賀県南部,甲賀市中北部の旧町域。野洲川と杣川(そまがわ)の合流点付近に広がる。1894年町制。1955年貴生川町,伴谷村,柏木村の 1町 2村と合体。2004年土山町,甲賀町,甲南町,信楽町と合体して甲賀市となった。中心地区の水口は,江戸時代は東海道の宿場町,加藤氏の城下町として発展。今日では甲賀地方の行政,商業の中心地で,1960年代に電機部品,化学などの工場が進出。1973年水口丘陵に工業団地が建設された。農村部では近江茶,かんぴょうを産し,檜皮(ひわだ)細工は特産。水口城跡のほか,大岡寺,八坂神社などがあり,大池寺は庭園で有名。一部は三上・田上・信楽県立自然公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口 (みなくち)

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事典・日本の観光資源 「水口」の解説

水口

(滋賀県甲賀市)
東海道五十三次」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の水口の言及

【水口祭】より

…稲作儀礼の一つで,一年の豊作を祈願して苗代(なわしろ)に種もみをまいた日に水口で行う。水口は水田への水の取入口で,ここに土を盛り季節の花や木の小枝を立てて焼米を供える。…

【柏木御厨】より

…中世の伊勢神宮領の御厨(荘園)。現在の滋賀県甲賀郡水口町の西北部にあった。12世紀初期に源義光が柏木・山村両郷を摂関家の牧として寄進したのに始まると伝えるが,1165年(永万1)に伊勢外宮領として立荘された。…

※「水口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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