焼津湊(読み)やいづみなと

日本歴史地名大系 「焼津湊」の解説

焼津湊
やいづみなと

[現在地名]焼津市鰯ヶ島・城之腰・北浜通・新屋

城之腰じようのこし村沖合の廻船が停泊する駿河湾内の海域。東西・南北とも八町の湊で、深さは干潮時でも五丈から五丈三尺、北東風には停泊に不便という(焼津市誌)。城之腰村・いわししま村・北新田きたしんでん村は焼津湊三ヵ村とよばれた。徳川家康から大型船八丁櫓の使用を許されたことが、当地の漁業発展の契機の一つになったと伝える。慶長一九年(一六一四)四月、柳津やいづ(焼津)浦でこの年初めてとれた生鰹を家康に献上している(駿府政事録)。城之腰村の沖では興津鯛が数多くとれ、その干物を毎年将軍家に献上したという(駿河国志補遺)。正保元年(一六四四)田中藩主松平忠晴が遠江掛川に転封の際、城之腰湊で船積みをしている(「駿州田中御在城中覚書」長野県上田市立博物館蔵)。元禄五年(一六九二)城之腰村の漁師四三人と北新田村の漁師一〇人との間で手繰網漁場を制限、また一〇月二〇日以前の長縄(延縄)の使用を禁止し、鰹漁を優先することを決めている(「一札」焼津漁業史)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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