廻船問屋(読み)カイセンドイヤ

デジタル大辞泉 「廻船問屋」の意味・読み・例文・類語

かいせん‐どいや〔クワイセンどひや〕【×廻船問屋】

江戸時代荷主船主の間にあって、積み荷の取り扱いをした業者廻漕店かいそうてん。かいせんどんや。

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精選版 日本国語大辞典 「廻船問屋」の意味・読み・例文・類語

かいせん‐どいやクヮイセンどひや【廻船問屋】

  1. 〘 名詞 〙 近世商品流通拡大により、廻船利用の迅速化と運送経費の低廉化を目ざし、荷主と船主との間に介在して積荷の仕建や受入れなど荷物の取次を専門とする業者。菱垣廻船問屋樽廻船問屋はその代表的なもの。船問屋。廻漕問屋。廻漕店。廻船屋。〔菱垣廻船問屋規録‐江戸廻船問屋由緒書(1855頃)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「廻船問屋」の意味・わかりやすい解説

廻船問屋
かいせんどんや

江戸時代,廻船を所有し物資輸送を業とした海運業者。輸送だけでなく物資の売買をも兼ねたものが多い。鎌倉,室町時代の問 (とい) ,問丸 (といまる) などに起源をもち,室町時代末期から輸送と売買とは次第に分離するようになった。江戸時代に入ると,菱垣廻船樽廻船のように海運専業の廻船問屋も出現した。しかしなかには北国廻船 (→北前船 ) のように運賃積みによらず,北陸,東北,蝦夷の諸産物を買入れては上方で売りさばき,同時に日用品を買込んで,翌春北国に帰航するものもあり,船主は売買問屋も兼ねていた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「廻船問屋」の解説

廻船問屋
かいせんどいや

船問屋とも。菱垣(ひがき)廻船・樽(たる)廻船などの運賃積の廻船を対象とする問屋と,買積の廻船を相手に積荷商品の売買を行う問屋の2種あった。一般に大都市や拠点港に成立し,商品売買は廻船問屋が,船員の世話は船宿(ふなやど)(小宿とも)が行った。ほかにも商品の斡旋,売買相手の紹介,相場情報の収集提供,為替送金や金融,商品の保管,入港税の代理徴収など多様な業務に従事した。廻船営業に欠かせない存在だったが,一般的に廻船問屋と廻船は固定的顧客関係を結んでおり,これを客船(きゃくぶね)という。

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旺文社日本史事典 三訂版 「廻船問屋」の解説

廻船問屋
かいせんどいや

江戸時代,商品輸送の廻船に従事した業者
「船問屋」ともいう。海上輸送の発達に伴い,主要な港に出現。廻船の積み荷の集荷・引き受けのほか,みずから運送にもあたった。

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世界大百科事典(旧版)内の廻船問屋の言及

【菱垣廻船(菱垣回船)】より

…江戸時代に,樽廻船とともに江戸・大坂間の海運の主力となり,木綿,油,酒,酢,しょうゆ,その他江戸の必要とする日用品を輸送した菱垣廻船問屋仕立ての廻船。船型としては弁才船(べざいぶね)と呼ばれる大和型帆船で,通称は千石船と呼ばれた荷船である。…

※「廻船問屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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