日本大百科全書(ニッポニカ) 「煮しめ」の意味・わかりやすい解説
煮しめ
にしめ
煮物料理の一種。煮物、とくに野菜を主とした煮方に、旨煮(うまに)、煮しめ、含め煮の3種があり、煮しめは、煮汁の中に数種の野菜を加えて炊き合わせ、煮汁をしみ込ませて煮しめるのでこの名がある。イモ類などは面とりをして下ゆでしてから、みりん、だし、砂糖、しょうゆで煮しめる。関西料理ではできあがった煮物に照りが出るのを気にかけないが、関東の煮しめは照りが出ないのが特色ともいえる。明治・大正のころの折詰め弁当には、かならずといっていいくらい煮しめが用いられていた。正月料理のなかには、昔も今も煮しめが入っている。三が日の間は火を使わないので、日もちのする煮しめが適するのである。江戸時代には煮しめを食積(くいつみ)といった。
[多田鉄之助]
[参照項目] |