燕文貴(読み)えんぶんき(英語表記)Yān Wén guì

改訂新版 世界大百科事典 「燕文貴」の意味・わかりやすい解説

燕文貴 (えんぶんき)
Yān Wén guì

中国,北宋時代の画家生没年不詳。浙江省呉興出身。10世紀末,都の汴京(べんけい)(河南省開封)に出て翰林図画院に入り,のち待詔となり,11世紀前半にかけて活躍。山水画界画を得意とし,北宋画院に奉職した最初の山水画家として注目される。代表作は《江山楼観図巻》(模本,大阪市立美術館)。その画風はやや先輩に当たる范寛の強い影響を受けているが,技法においては出身地に近い江南様式の影響も受けている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「燕文貴」の意味・わかりやすい解説

燕文貴
えんぶんき
Yan Wen-gui

北宗前期の宮廷画家。呉興 (浙江省) の人。「江海の微賤」といわれるように,江南出身の元兵士で,太宗のとき,高益の推挙で画院祗候となった。画風は当時の山水画を主導した華北と,出身地華南の折衷様式であったと考えられ,それはのちの宮廷山水画様式の方向を示唆するものであった。伝称作品『江山楼観図巻』 (大阪市立美術館) は嵐雨の一過するさまを画巻の展開にそって巧みに表わしており,「燕家の景致」と称された細緻で変化に富んだ画法をうかがわせる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android