片手矢(読み)かたてや

精選版 日本国語大辞典 「片手矢」の意味・読み・例文・類語

かたて‐や【片手矢】

〘名〙 弦に矢をつがえ、左手で弓とともに支え持つ状態。一説に、一本の矢。二本一組の矢を一手(ひとて)というのに対していう。
平家(13C前)九「射ころし候はんとて、かた手矢はげて出けるを」
[補注]甲矢(はや)乙矢(おとや)で一手となる矢の一本とする説が一般的であるが、用例が実戦的場面の描写に限られることや、「平治物語絵巻」の戦闘場面では、弦に矢をつがえ、弓を握る左手の人差し指を弓と矢の交わるところにかけ、片手で支え持つように描かれていることなどから、そのような姿勢をいう語と思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「片手矢」の意味・読み・例文・類語

かたて‐や【片手矢】

左手(弓手ゆんで)に矢をつがえた弓を持ち、射る準備を整えていること。また、その1本の矢。
「―をはめて、矢筈やはずをとり」〈曽我・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android