片落(読み)かたおち

精選版 日本国語大辞典 「片落」の意味・読み・例文・類語

かた‐おち【片落】

〘名〙
一方だけ重くて、平均を失うこと。偏重
※玉塵抄(1563)一八「両方のかるさおもさをかたおちせぬやうにかけやわせて、冬至なれば陰気の至ればをもうなるぞ」
② (形動) 一方だけをひいきすること。また、そのさま。片手落ち。えこひいき。不公平。
※土井本周易抄(1477)三「君子は只かたをちに、訟をば不決ぞ」
③ 物の一方が欠け落ち、または切り落とされたもの。
※夫木(1310頃)二〇「三尾山や杣(そま)のわれ木のかたおちに捨てられながらふしは忘れず〈藤原為家〉」
預金や貸し出しの利息計算で、預け入れ、貸し出しの日、または支払いの日の一方に利息をつけないこと。
⑤ =かたどけ(片解)〔取引所用語字彙(1917)〕

かた‐おとし【片落】

〘名〙
① 一方だけを落とすこと。
② 一方だけを不公平に扱うこと。片方だけを意地悪く扱うこと。
※菊模様皿山奇談(1871)〈三遊亭円朝四五「勘八のみお咎(とがめ)が有りましては、偏頗(カタオトシ)のお調べかと心得ます」
③ =かたどけ(片解)〔新聞語辞典(1933)〕

かた‐お・つ【片落】

〘自タ上二〙
① 一方にだけかたよる。
※応永本論語抄(1420)学而第一「信ばかりを守て、物をちがえまじきとすれば、帰て片落て、信を失ふことあり」
② 一方だけをひいきにする。えこひいきをする。
甲陽軍鑑(17C初)品八「いかに国を持とも、かたおちて、一むきなるは、是少身也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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