図書館情報学用語辞典 第5版 「版経」の解説 版経 印刷された仏教教典で,手写された写経に対する語.仏教教典の印刷は日本では『百万塔陀羅尼』を始め,奈良,平安時代にすでに行われているが,当時の教典の印刷は僧侶に必要なテキストを提供するためというよりも,供養,功徳を積むための摺経(すりきょう)供養であった.これらの摺経も版経であるが,印刷の技術もまだ稚拙で遺品も少ない.日本の版経が本格的に発達し,様式的にも優れたものが作られるのは,平安末期から鎌倉時代であり,春日版,高野版,浄土教版など,仏教諸派による特色のある版経が出版された.さらに,南北朝から室町時代にかけては禅宗関係の五山版が現れたが,江戸期には出版文化の主流は仏教関係のものから世俗的なものに移っていく. 出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報 Sponserd by