大学事典 「特別研究員制度」の解説
特別研究員制度
とくべつけんきゅういんせいど
日本学術振興会による研究者養成と確保を目的とした若手研究者向けのフェローシップ(日本)であり,博士後期課程在学者と博士号取得者を対象とする。採用者には,生活費に充てられる研究奨励費と,別途研究費が交付される。他方で研究専念義務(日本)が課せられ,就労や他の雇用契約は原則禁止される。採用者と日本学術振興会は雇用関係にはなく,採用者は大学や公的研究機関等の受入機関で研究を行う必要がある。特別研究員制度は,1959年に開始された博士課程修了者を対象とする奨励研究員制度(日本)を源流とし,いわゆるオーバードクター問題も経て,85年に採用期間や交付金額等を拡充したものである。研究者養成と確保の観点から,現在では博士後期課程在学者の採用者が多くなっている(2015年度では博士後期課程在学者と博士号取得者の採用者の割合は4:1である)。このほか2006年には,出産や育児による研究活動の中断からの復帰を支援する枠組み(「特別研究員-RPD」事業)が設けられた。
著者: 榎孝浩
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報