日本学術振興会(読み)ニホンガクジュツシンコウカイ

デジタル大辞泉 「日本学術振興会」の意味・読み・例文・類語

にほん‐がくじゅつしんこうかい〔‐ガクジユツシンコウクワイ〕【日本学術振興会】

学術の振興、学術に関する国際交流研究者の育成などを行う文部科学省所管の独立行政法人。昭和7年(1932)財団法人として設立。昭和42年(1967)特殊法人となり、平成15年(2003)独立行政法人化。学振。JSPS(Japan Society for the Promotion of Science)。

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改訂新版 世界大百科事典 「日本学術振興会」の意味・わかりやすい解説

日本学術振興会 (にほんがくじゅつしんこうかい)

学術振興を目的とする文部省の外部団体。対外表記はJapan Society for the Promotion of Science。学振,JSPSと略称することもある。1931年,当時の世界的な経済不況を背景に,桜井錠二(化学),古市公威土木工学),小野塚喜平次(政治学)ら学界の長老や指導者たち百数十名が会合して,学術振興の必要性を訴えた。この運動が実って,翌32年,財団法人日本学術振興会が設立された。設立にあたって天皇から基金を下賜されるなど,学振は豊富な資金を擁し学術行政に重きをなした。学振の事業の中でとくに注目されるのは,産業的・軍事的に重要な研究テーマを選んで,プロジェクトチームによる総合研究を組織したことである。学振の活動は,学界の近代化に貢献し,日本の研究水準を向上させたとの評価もあるが,同時に,学振は科学研究の戦時動員体制の中核としての役割を担ったともいえる。第2次大戦後の学術体制刷新運動の中で学振はかろうじて存続したものの,戦後しばらくは細々と活動を続けていたにすぎない。しかし学振は流動研究員・奨励研究員制度や外国人学者の招聘(しようへいプログラムなどを通じてしだいに事業を拡大した。そして67年には特殊法人として再組織されてその面目を一新し,学術の国際交流,各種研究集会の開催,若手研究者育成など,日本の学術行政の中で再び重要な役割を担うことになった。機関誌《学術月報》のほか各種学術図書を刊行している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本学術振興会」の意味・わかりやすい解説

日本学術振興会
にほんがくじゅつしんこうかい

学術研究の助成、研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進などを行う文部科学省所管の独立行政法人。英語名はJapan Society for the Promotion of Science、略称JSPS。独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第159号)に基づいて2003年(平成15)設立。本部は東京都千代田区麹町(こうじまち)。ワシントンロンドン、北京(ペキン)など海外10か所に研究連絡センターがある。

 1932年(昭和7)、皇室からの下賜金150万円をもとに創設された財団法人日本学術振興会が前身である。1967年(昭和42)特殊法人に再編、2003年「中央省庁等改革」の一環として独立行政法人化された。この間若手研究者に対する支援事業、外国人研究者招聘(しょうへい)事業、秩父宮(ちちぶのみや)記念学術賞(1995年終了)の授与などを行ってきた。おもな事業は、大学が行う研究・教育への支援や研究者養成のための援助、先端研究助成基金、若手研究者海外派遣、世界最高水準研究拠点構築への支援、国際学会等の支援、若手研究者に対する国際的な研鑽(けんさん)機会の提供、研究者の招聘、日本学術振興会賞などの顕彰、出版事業などである。2012年3月時点での資本金は10億6510万円、職員数は136人。

[編集部]

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大学事典 「日本学術振興会」の解説

日本学術振興会
にほんがくじゅつしんこうかい

文部科学省が所管する独立行政法人で,科学研究費助成事業(いわゆる科研費)による学術研究助成や,特別研究員制度等による研究者養成,国際学術交流の促進により学術の振興を図ることを目指している。学術研究は,研究者の自由な発想に基づく研究をいい,人文科学,社会科学および自然科学ならびにそれらの応用を対象とする。前身は,皇室からの下賜金を受けて,1932年(昭和7)に設置された財団法人日本学術振興会であり,67年に特殊法人に発展的に改組されたのち,2003年(平成15)に現在の独立行政法人となった。科研費の募集・審査,交付業務は当初からの業務ではなく,審査や評価の向上等を目指し,1999年以降,文部省,その後の文部科学省から移管が進められたものである。近年はグローバルCOEプログラムやスーパーグローバル大学等の事業,世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)等の審査や評価,管理等が文部科学省から委託されている。
著者: 榎孝浩

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本学術振興会」の意味・わかりやすい解説

日本学術振興会
にほんがくじゅつしんこうかい

1932年 12月財団法人として創設。天皇下賜金,政府補助金および民間の寄付金をもって学術研究奨励事業を行なってきた。第2次世界大戦後数年間事業の縮小を余儀なくされていたが,混乱期を脱するとともに財界,産業界,文部省などからの費用をもって事業を復興。 1967年9月日本学術振興会法の制定により特殊法人に改組された。 2003年 10月,独立行政法人に移行。研究助成,研究者養成のための援助,学術の国際交流の推進,学術の社会的協力・連携の推進などの事業を行なうほか,国際生物学賞の事務局にもなっている。

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百科事典マイペディア 「日本学術振興会」の意味・わかりやすい解説

日本学術振興会【にほんがくじゅつしんこうかい】

研究者に対する援助,学術研究の助成や国際協力の促進等に関する事業を行う文部科学省の外部団体。1967年特殊法人として設置,2003年独立行政法人となった。役員(理事長,理事,監事)は文部科学大臣が任命し,評議員(15人以内)は文部科学大臣の認可を受けて理事長が任命。財団法人日本学術振興会(1932年設立)の後身。機関誌《学術月報》。

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知恵蔵 「日本学術振興会」の解説

日本学術振興会

前身は1932年に発足した財団法人で、67年に日本学術振興会法に基づく特殊法人となった。2003年に独立行政法人として新たなスタートを切った。初期は研究者の国際交流を主な業務としていたが、96年に「未来開拓」と名付けられた研究助成事業を始め、研究費配分事業も担うようになった。大学にいる研究者に主に配分される科学研究費補助金(科研費)についても、99年から担当している。

(高橋真理子 朝日新聞記者 / 2007年)

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産学連携キーワード辞典 「日本学術振興会」の解説

日本学術振興会

「日本学術振興会」とは、文部科学省の所轄の特殊法人。「日本学術振興会」は、学術の進展に寄与することを目的として、学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に関する国際協力の実施の促進、その他学術の振興に関する事業を行っている。「日本学術振興会」は、科学研究費補助金、未来開拓学術研究推進事業、21世紀COEプログラム、特別研究員制度など、様々な研究活動の推進を行っている。

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