特型駆逐艦(読み)とくがたくちくかん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「特型駆逐艦」の意味・わかりやすい解説

特型駆逐艦
とくがたくちくかん

旧日本海軍の駆逐艦。昭和初期 (1928~32) に建造された大型駆逐艦。 1920年代に嚮導駆逐艦 flotilla leaderという大型で砲力にすぐれた駆逐艦が出現し,駆逐隊の先導艦として使用する構想があった。日本海軍は主力艦の劣勢 (ワシントン条約で,イギリス,アメリカの6割に制限) を補助艦 (巡洋艦,駆逐艦) ,特にその魚雷力で補うため,全新造駆逐艦を外洋作戦に適し,嚮導駆逐艦にまさる重武装の大型艦とすることに決定,吹雪型駆逐艦 24隻を建造した。この型を特型駆逐艦と称した。主要目は,公試排水量 2000t,速力 38kn,12.7cm砲6,61cm魚雷発射管9。特型は砲と魚雷力を高めた結果,他国の駆逐艦を飛躍的に凌駕し,第2次世界大戦時の交戦各国駆逐艦隊の手本となった。しかし画期的な性能をもつ反面,極端に重量軽減を要したため,次第に改良を加えるうちに船体の構造に無理が生じ,35年9月三陸沖の台風中,特型の『初雪』と『夕霧』の艦首切断事故 (→第四艦隊事件 ) が起った。その後,補強その他の性能改善が行われ,特型以後の駆逐艦 (→陽炎〈かげろう〉型駆逐艦 ) は太平洋戦争で十分にその性能を発揮した。

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