(読み)ひしめき

精選版 日本国語大辞典 「犇」の意味・読み・例文・類語

ひし‐めき【犇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 押しあって騒ぎたてること。騒動
    1. [初出の実例]「様々の御守り共を取り加られて御座ながら、不持して、かかるひしめきは」(出典源平盛衰記(14C前)四四)
  3. 押しあうように物が集まって混雑すること。
    1. [初出の実例]「内に秘めたえたいの知れぬ力の、陰陰たるひしめきを、海にうつし出し」(出典:善財(1949)〈石川淳〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「犇」の読み・字形・画数・意味


12画

(異体字)
9画

[字音] ホン
[字訓] はしる・ひしめく

[字形] 会意
三牛に従う。〔広韻〕に「牛くなり」とあり、牛が驚き奔る意。(ひょう)・驫(ひよう)と同じ造字法で、その声も似ている。〔集韻〕に〔説文〕を引いて「は走るなり」とし「古、犇に作る」というが、(奔)は金文にもみえる字である。

[訓義]
1. はしる、おどろきはしる。
2. ひしめく。

[古辞書の訓]
名義抄〕犇 古のの字なり。ハシル 〔立〕犇 ヒシメク・ウシノオドロク・カラル・トシ・ハシル・カマビスシ

[語系]
犇・punは驫・piと同系の語で、造字法も同じ。中にあるものが、急に外に発することをbiunといい、その系統の語である。語彙は奔字条参照。

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