中国の韻書。5巻。「大宋重修広韻(だいそうじゅうしゅうこういん)」の略称。北宋の陳彭年(ちんほうねん)、邱雍(きゅうよう)らが勅命により編纂(へんさん)し、1008年(大中祥符1)成書、科挙で作詩を課する際の押韻基準を示すものとして朝廷から印刷頒布された。隋(ずい)・唐以来の切韻系韻書に基づき、それを大幅に増補したもので、2万6000余字を206韻に分け、各字の注解には類書(中国風の百科事典)的内容を盛ったが、反切(はんせつ)は宋代の発音にあわせて改めることをせず、『切韻』での姿をかなりよく保存した。亡逸した『切韻』にかわる隋唐音研究の基本資料として清朝(しんちょう)以来重視されており、とくにその反切が詳しく研究されている。
[平山久雄]
『藤堂明保著『中国語音韻論』(1980・光生館)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…《切韻》の体系は後世の韻書の典型となり,時代とともに音韻変化が起こってもながく規範として墨守された。宋の《広韻》《集韻》などはその系統の韻書である。切韻系韻書は科挙に課される詩韻の規準とされたので,宋代には《切韻》の簡略版の《韻略》が盛行し,《広韻》の206韻の体系が細かすぎるため元のころには106韻の体系に簡約化され,これが後世作詩の用に供せられた。…
…すでに三国魏の時代に李登の《声類》があり,六朝を通じて多くの韻書がつくられてはいるが,現在見ることはできない。隋の陸法言の《切韻》は,現在残簡が残っており,唐代を通じて数度の改訂増補をくりかえし,宋初になって定本ともいうべき《広韻》が刊行された。声調によって巻を分かち,平声2巻,上去入声それぞれ1巻あわせて5巻,206韻という基準が定まる。…
※「広韻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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