デジタル大辞泉
「広韻」の意味・読み・例文・類語
こういん〔クワウヰン〕【広韻】
中国の韻書。「大宋重修広韻」のこと。北宋の陳彭年、丘雍などの奉勅撰。1008年完成。「切韻」「唐韻」の音系と反切を継承し、平声(上、下)、上声、去声、入声の全5巻から成る。2万6194字を収め、平・上・去・入の206韻に分かつ。古代の字音を知るうえできわめて重要なものとされる。
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こういんクヮウヰン【広韻】
- 中国の音韻書。五巻。北宋の真宗帝の勅命により、陳彭年(ちんほうねん)らが撰。大中祥符元年(一〇〇八)刊。「大宋重修広韻」の略。「李舟切韻」をはじめ隋・唐代の韻書を集大成したもの。詩などで相互に押韻できる文字を集めて、二〇六の韻に分類し、各韻の内部は完全に同音の文字を集めて小韻をつくり、反切(はんせつ)によって発音を示す。さらに声調によって、平上去入に分ける(平声は字数が多いので、上・下に分けてある)。字義は切韻系韻書に比べ、かなり詳しく、一種の百科辞書的色彩を帯びている。所収字は二六一九四字。なお、広韻の音韻体系と、韻鏡の音韻体系とは完全には合致しない。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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広韻
こういん
中国の韻書。5巻。「大宋重修広韻(だいそうじゅうしゅうこういん)」の略称。北宋の陳彭年(ちんほうねん)、邱雍(きゅうよう)らが勅命により編纂(へんさん)し、1008年(大中祥符1)成書、科挙で作詩を課する際の押韻基準を示すものとして朝廷から印刷頒布された。隋(ずい)・唐以来の切韻系韻書に基づき、それを大幅に増補したもので、2万6000余字を206韻に分け、各字の注解には類書(中国風の百科事典)的内容を盛ったが、反切(はんせつ)は宋代の発音にあわせて改めることをせず、『切韻』での姿をかなりよく保存した。亡逸した『切韻』にかわる隋唐音研究の基本資料として清朝(しんちょう)以来重視されており、とくにその反切が詳しく研究されている。
[平山久雄]
『藤堂明保著『中国語音韻論』(1980・光生館)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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広韻 (こういん)
Guǎng yùn
中国,宋の陳彭年(961-1017)らが勅命により《切韻》を増補改訂した韻書。1008年(大中祥符1)に完成し,以後詩文押韻の基準として大きな役割を果たした。平声のみは字数が多いので2巻に分かち,上・去・入声各1巻,計5巻で206韻に分かれる。切韻系韻書の集大成の性格をもち,中古音研究の最も重要な資料である。周祖謨《広韻校本附校勘記》は諸本の異同をふまえた信頼しうるテキストである。
執筆者:松尾 良樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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広韻
こういん
Guang-yun
中国,北宋の韻書。正しくは『大宋重修広韻』。隋の『切韻』系韻書の一つとして,陳彭年 (ちんほうねん) ,邵雍 (しょうよう) らが勅命によって撰定。5巻。大中祥符1 (1008) 年成立。2万 6194字を収める。まず声調によって平上去入の4種に大別,各韻の内部を母音 (韻) 206種,子音 3840種に細分し,いわゆる小韻に分類して各文字を配列して,反切によって発音を示している。仁寿1 (601) 年,韻書の決定版として『切韻』ができて以来,唐代を通じてその増補改訂が繰返されたが,本書はその集大成ともいえ,『切韻』が完存していない今日,中古漢語音韻の研究の最も基本的な典拠である。本書の最も信頼できるテキストは周祖謨 (しゅうそも) の『広韻校本』とされる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の広韻の言及
【韻書】より
…残欠本が存する。陳彭年らの撰《大宋重脩広韻》(1008)は,ふつう《[広韻]》と呼ばれる。広切韻,すなわち切韻を増広したものの意味である。…
【音韻学】より
…《切韻》の体系は後世の韻書の典型となり,時代とともに音韻変化が起こってもながく規範として墨守された。宋の《広韻》《集韻》などはその系統の韻書である。切韻系韻書は科挙に課される詩韻の規準とされたので,宋代には《切韻》の簡略版の《韻略》が盛行し,《広韻》の206韻の体系が細かすぎるため元のころには106韻の体系に簡約化され,これが後世作詩の用に供せられた。…
【文字学】より
…すでに三国魏の時代に李登の《声類》があり,六朝を通じて多くの[韻書]がつくられてはいるが,現在見ることはできない。隋の陸法言の《[切韻]》は,現在残簡が残っており,唐代を通じて数度の改訂増補をくりかえし,宋初になって定本ともいうべき《[広韻]》が刊行された。声調によって巻を分かち,平声2巻,上去入声それぞれ1巻あわせて5巻,206韻という基準が定まる。…
※「広韻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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