狩場明神(読み)かりばみょうじん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「狩場明神」の意味・わかりやすい解説

狩場明神
かりばみょうじん

和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野に鎮座する丹生都比売(にうつひめ)神社(延喜(えんぎ)式内名神(みょうじん)大社、旧官幣大社、世界文化遺産)の第二殿(二之宮)に祀(まつ)られ、第一殿(一之宮)の丹生明神(丹生都比売命)を母とする御子神(みこがみ)。高野(こうや)明神とも高野御子神ともいう。816年(弘仁7)に空海高野山を開いたとき、黒白2匹の犬を連れた猟師の姿に化現して空海に高野の地を譲り、犬に道案内させたという由来でこの名がある。またこれが高野山鎮守社になった由来とされている。

[薗田 稔]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「狩場明神」の解説

狩場明神 かりばみょうじん

高野山の地主神
空海が高野山をひらいたとき,2匹の犬をつれた猟師の姿で道案内をつとめたという由来から,この名でよばれるようになった。「今昔物語集」などに説話がみえる。丹生都比売(にうつひめ)とともに丹生高野神社,丹生狩場神社としてまつられることがおおい別名高野明神,犬飼明神。

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世界大百科事典(旧版)内の狩場明神の言及

【高野山】より

…それによると,〈空海,少年の日,好んで山水を渉覧せしに,吉野より南に行くこと一日,更に西に向つて去ること両日程にして平原の幽地あり,名けて高野と曰ふ,計るに紀伊国伊都郡の南に当れり〉とあるように,同年7月の勅許による高野山開創以前から,高野山は北に葛城修験,東に大峰を中心とする修験を控えて,優婆塞修験者の抖擻(とそう)修行した山岳霊場であった。 空海は高野山の開創にあたって,丹生都比売(にゆうつひめ)からこの地を譲り受けたという伝説があり,このとき空海を高野山に案内したのが狩場明神(高野明神)であるともいう。この両神は現在,壇上の鎮守となっている。…

※「狩場明神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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