独ごと(読み)ヒトリゴト

デジタル大辞泉 「独ごと」の意味・読み・例文・類語

ひとりごと【独ごと】[書名(俳論書)]

江戸中期の俳論書。2冊。上島鬼貫おにつら著。享保3年(1718)刊。上下122段からなり、「まこと」を中心とする文学理念や身辺雑記を述べたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「独ごと」の意味・わかりやすい解説

独ごと
ひとりごと

鬼貫(おにつら)の俳論書。上下二巻。1718年(享保3)58歳のおりに刊行した。当時の代表的な歌学者有賀長伯(あるがちょうはく)が序を、大徳寺273世の巨妙子義統(きょみょうしぎとう)が跋(ばつ)を書いている。彼らとの交流は、鬼貫の俳諧(はいかい)、俳論に大きな影響を与えている。「まことの外(ほか)に俳諧なし」との鬼貫の有名なことばがみえるのが本書である。上巻では、その「まこと」論を中心とした俳論、俳諧作法論が展開されており、下巻では、本意本情論を視座としつつ、鬼貫の目でとらえた四季の美の諸相、および年中行事に対する随想、それに「旅」「恋」「祝」の随感が、感性豊かな文体でつづられている。

[復本一郎]

『復本一郎著『鬼貫の「独ごと」全訳注』(講談社学術文庫)』

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