玖村(読み)くむら

日本歴史地名大系 「玖村」の解説

玖村
くむら

[現在地名]安佐北区高陽こうよう町〈玖・金平かなびら真亀まがめ亀崎かめざき

下深川しもふかわ村の西南太田おおた川が三篠みささ川・根谷ねのたに川と合流し、西南に流れを変える辺りの東側一帯に位置する。東から諸木もろき川、東南から岩上いわのうえ川が流れ込み、その流域に集落と耕地がある。諸木川沿いに上流の諸木村、岩上川沿いに上流の岩上村に通じる。太田川の上流は下深川村、下流矢口やぐち村であるが、ともに陸路の便に乏しい。太田川の対岸沼田ぬまた八木やぎ(現安佐南区)に飛地がある。なお「玖村」の表記は江戸時代以降用いられる。

この地は太田川舟運の要衝であり、鎌倉時代には国衙領であった。地名は年未詳三月日付の安芸国衙領注進状(田所文書)に「久村六丁百八十歩」があり、不輸免三丁七反(新宮馬上免・一宮御読経免・惣社免・角振社仁王講免・公廨田・在庁屋敷)と応輸田二丁三反半からなっている。応安六年(一三七三)今川了俊は「勾村地頭職内金子孫太郎入道跡」を三入みいり庄の熊谷宗直に兵糧料所として預け置いた(熊谷家文書)。大永七年(一五二七)武田軍は大内氏とその支援の大友軍を相手に、久村くむら(地蔵堂山城)で攻防戦を展開(黄薇古簡集、佐土原文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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