改訂新版 世界大百科事典 「理学診療科」の意味・わかりやすい解説
理学診療科 (りがくしんりょうか)
光線,温熱,水,超音波,超短波などの物理的作用を利用して診断や治療を行う診療部門。リハビリテーション医療と非常に関係が深い診療科目で,物理療法や運動療法を含む理学療法が治療の主体をなす。種々の運動障害の改善には理学療法はきわめて有効であり,より広いリハビリテーション医療の概念で理学療法を実施するならば機能障害の改善のみならず,能力障害の改善をも果たすことができる。それは,現在の理学療法が単に物理療法のみならず種々の筋力強化や関節可動域改善,運動の改善を目的とした治療体操を多く用いるようになったためであり,同時に,四肢の欠損や体幹の変形に対して義肢・装具・車椅子など補装具をくふうして障害を克服する試みなどの専門的治療をチームワークで実行することになったためである。ただリハビリテーション医学の展開が比較的新しいものであるため,障害の診断と治療が行われるためにはそれにふさわしい新しい概念の診療科目をつくる必要があるとする意見も強い。
→リハビリテーション
執筆者:岩倉 博光
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報