日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉球国志略」の意味・わかりやすい解説
琉球国志略
りゅうきゅうこくしりゃく
中国人周煌(しゅうこう)が著した書物。1756年(宝暦6)琉球(りゅうきゅう)王国尚穆(しょうぼく)王冊封(さくほう)のため正使全魁(ぜんかい)とともに使節団を率いて琉球を訪れた周煌(副使)は、230日に及ぶ滞琉中の見聞と諸書を参考にして、16巻に及ぶ書物をまとめ皇帝に復命した。冊封の公務を復命する形で著されるこのような書を冊封使録(しろく)と称するが、本書はそのなかの白眉(はくび)の一つと評価されており、琉球の自然、人文、諸事百般を客観的に記述して史料的価値が高い。周煌はまた書家としても優れ、滞琉中に彼の残した書が沖縄県立博物館などに蔵されている。
[高良倉吉]
『平田嗣全訳注『周煌琉球国志略』(1977・三一書房)』