改訂新版 世界大百科事典 「琴曲抄」の意味・わかりやすい解説
琴曲抄 (きんきょくしょう)
日本音楽の文献。箏組歌の歌本。横本2冊。題簽(だいせん)には《琴曲鈔》とある。八橋検校作の組歌13曲ほか2曲を収録。歌詞の右に〈かけづめ〉などの演奏法を部分的に記譜し,各歌のあとに簡単な注釈を付す(ただし,八橋の《四季曲》《扇曲》《雲井曲》には記譜がついていない)。京都梅村弥右衛門ほかにより刊行され,序文は1695年(元禄8),奥書の刊記は1694年。1763年(宝暦13),1809年(文化6)に再刊。記譜・注釈は簡略であるが元禄期の代表的な組歌本で,後代に与えた影響は大きく,これを補遺する目的で安村検校校訂の《撫箏雅譜集(ぶそうがふしゆう)》(1755)など同一体裁の組歌本が多く刊行された。
執筆者:三谷 陽子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報