国指定史跡ガイド 「瑞泉寺境内」の解説
ずいせんじけいだい【瑞泉寺境内】
神奈川県鎌倉市二階堂にある寺院。臨済宗円覚寺派の寺で、山号の錦屏(きんぺい)山は周囲の紅葉ヶ谷(もみじがやつ)の紅葉が錦の屏風のようであることから名づけられたという。鎌倉幕府の重臣であった二階堂道蘊(どううん)によって、1327年(嘉暦2)に夢窓疎石(むそうそせき)を開山として創建され、初代鎌倉公方の足利基氏が中興した。鎌倉公方足利家の菩提寺となり、鎌倉五山に次ぐ寺格を誇っていたが、4代持氏のとき、関東管領上杉氏との対立に端を発する永亨の乱(1438~39年)で衰亡した。現在の伽藍(がらん)は、総門・山門・仏殿・書院・地蔵堂・開山堂などであるが、いずれも大正時代以降の再建である。寺宝に重要文化財の木造夢窓国師坐像が伝わり、凝灰岩の岩盤をえぐり削って作られた方丈書院の庭園は夢窓疎石が作庭したものとされるが、発掘調査や古図面をもとに復元されて、1971年(昭和46)に国の名勝に指定された。境内も同年に国指定史跡になり、2008年(平成20)に追加指定があった。JR横須賀線ほか鎌倉駅から湘南京急バス「大塔宮」下車、徒歩約10分。