瓢箪から駒(読み)ひょうたんからこま

ことわざを知る辞典 「瓢箪から駒」の解説

瓢箪から駒

思いがけないことがきっかけとなって、思いもよらない結果が生じることのたとえ。瓢箪から駒が出る。

[使用例] ところがあるんだな、正に君たちの希望にぴったりの結構な土地が。彼は雑誌の仕事で以前取り上げたことのある地中海クラブのマレーシアのビーチの名を上げた。〈略〉ひょうたんから駒が出るように、マレーシア行きの話が、とんとん拍子に実現してしまった[森瑤子*ホロスコープ物語|1983]

[使用例] 私が戯曲作家になったのは瓢箪から駒が出たような偶然であった。私は猿之助氏とは長年の友人で、彼の芝居を観て、新しい歌舞伎というのは、歌舞伎の本来もっていた歌や踊りやアクションを十分に生かしながらギリシア悲劇〈略〉のようなきちんとした劇的構成をもち、しかもその台詞せりふは現代語で語るべきだというと、猿之助氏は私の意見に賛成し、しかしその作者がいない、いっそ先生がお書きくださいといった[梅原猛*スーパー歌舞伎「オオクニヌシ」|1997]

[解説] ことわざの成立には、中国の仙人張果老の伝説が影響しているようです。張果老は白いロバに乗って各地を廻り歩き、休むときはロバを瓢箪の中に収めていたといわれます。日本でも、室町時代からこの仙人を画題とする絵が好まれ、いつしか瓢箪から駒が出る構図がよく知られるようになりました。さらにその背景には、瓢箪の中には別世界があるとする東アジアに古くから伝わる伝承がありました。この伝承は、孫悟空の物語や「宇治拾遺物語」の雀の恩返し(瓢箪から米が出てくる)の説話とも連なるものでしょう。なお、ひょんなことから思いがけない結果になることはそう簡単に起きないので、「瓢箪から駒もでず」と否定形にすることもあります。

出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報

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