日本大百科全書(ニッポニカ) 「瓶花譜」の意味・わかりやすい解説
瓶花譜
へいかふ
中国明(みん)代の花書。明代の文人で書画の収集や鑑定に優れたといわれる張謙徳(ちょうけんとく)が1595年(万暦23)に刊行したもので、江戸初期に日本に伝わり、袁宏道(えんこうどう)の『瓶史(へいし)』とともに当時のいけ花界に大きな影響を与えた。内容は8部からなり、品瓶では花瓶のよしあしを、品花では草花の評価分類を、折枝(せっし)では花の折り方の心得を、挿貯(そうちょ)では花の保たせ方を、滋養では花を養う水のやり方を、事宜では水揚げ法を、花忌(はないみ)では瓶花で忌み嫌う条件を、護瓶では花瓶の扱いを具体的に述べている。江戸末期の文人生(ぶんじんいけ)の人々の座右の書となった。
[北條明直]
『佐藤武敏編訳『中国の花譜』(平凡社・東洋文庫)』
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