改訂新版 世界大百科事典 「生活療法」の意味・わかりやすい解説
生活療法 (せいかつりょうほう)
精神障害者の社会復帰(リハビリテーション)の手段に用いられる作業療法を拡大した療法。長期療養による社会性の喪失を改善させる学習行動でもある。統合失調症者などでは病状により自閉的になったり,無為の状態で過ごす者があるが,その治療手段ともなる。日常生活態度の改善を目標とする生活指導,すなわち,起床,洗面,食事,更衣,入浴等の日常生活動作の指導にはじまり,レクリエーション療法,作業療法,前職業訓練などを含む一連の患者への働きかけを総括して生活療法(これに該当する欧語はない)と名づけている。医師の指示により,看護婦,作業療法士,心理技術者,ソーシャル・ワーカー等が関与し,各患者ごとに治療計画を立て,一般的には小集団に所属させて,自主性の向上と対人接触の改善を図り,社会復帰に至らせる過程をとる。精神病院では,薬物療法,精神療法と組み合わせて行う必須の治療法の一つである。
→リハビリテーション
執筆者:加藤 伸勝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報