ソーシャルワーカー

デジタル大辞泉 「ソーシャルワーカー」の意味・読み・例文・類語

ソーシャル‐ワーカー(social worker)

《「ソシアルワーカー」とも》社会福祉事業に従事する人。特に、職業として社会福祉事業に従事する専門家。→社会福祉士

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精選版 日本国語大辞典 「ソーシャルワーカー」の意味・読み・例文・類語

ソーシャル‐ワーカー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] social worker )
  2. 社会事業家。
    1. [初出の実例]「僕は商売人(ビジネス・マン)と教育家(エデュケータア)と社会事業家(ソシャル・ウァーカア)を混ぜこぜにしたやうな人間になります」(出典:混血児ジョオヂ(1931)〈浅原六朗〉五)
  3. 社会福祉、教育、医療産業などの領域で集団と個人の福祉活動に従事する専門家。社会福祉士のほか民生委員なども含む。

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百科事典マイペディア 「ソーシャルワーカー」の意味・わかりやすい解説

ソーシャル・ワーカー

社会福祉事業に従事する専門家。老人や障害者に対する各種援助の必要性を調査すると同時に,それぞれの問題を解決する方法を見出すための援助や指導,教育を行う。 日本のソーシャル・ワーカーは,戦後,米国の指導により福祉制度が整備されるのと同時に配置され,以後,福祉事務所をはじめとする各福祉施設において,相談業務や生活指導にあたるようになった。しかし,職種としては存在するが,資格としてはまだ認められていない。 社会福祉関係分野の専門職の国家資格に関しては,1987年に成立した〈社会福祉士及び介護福祉士法〉によって定められている。最近では,ソーシャル・ワーカーは社会福祉士介護福祉士の資格をもつことが望ましいとの意見が大勢を占め,社会福祉士および介護福祉士の国家試験受験者が急増している。 社会福祉事業には,個人や家族を対象とするケースワーク,集団を対象とするグループ・ワーク,地域・組織的社会事業としてのコミュニティ・ワークがあり,各分野でソーシャル・ワーカーが働いている(ケースワークに従事する専門家を,特にケースワーカーということもある)。 医療に関連する分野で働くソーシャル・ワーカーを医療ソーシャル・ワーカーMSW=medical social worker),その中でも,精神障害者を対象とする専門家を精神医学ソーシャル・ワーカー(PSW=psychiatric social worker)という。医療ソーシャル・ワーカーは,病院保健所などの医療機関で,患者や家族の経済面や心理面などの問題解決を図る。具体的には,通院・入院に関する援助(一般的相談,他の医療機関や福祉施設の紹介など),退院に関する援助(自宅療養環境の整備,施設ケアの援助),療養上(入院中)の問題解決,経済問題の解決(福祉・保険制度の相談と紹介),家族問題の解決(家庭内の関係の改善),日常生活援助,心理的援助など。また,地域の患者会や家族会の育成なども重要な仕事である。病院によっては,より専門性をもった職種として,診療部門の一つとして独立させているところもある。 1990年,医療ソーシャル・ワーカーを国家資格化する案が厚生省によって提案されたが,関係する団体が多岐にわたり,調整がつかずに法案提出には至らなかった。そこで,精神科に限って資格化しようという動きが高まり,1994年から検討が始まり,1997年にようやく〈精神保健福祉士〉法案の提出にまで至った。精神医学ソーシャル・ワーカーは,近年特に病院だけでなく,保健所や地域活動の場など,活動の場を広げており,今後の動きが注目される。→在宅ケア
→関連項目移植コーディネーター

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改訂新版 世界大百科事典 「ソーシャルワーカー」の意味・わかりやすい解説

ソーシャル・ワーカー
social worker

一定の組織的,体系的な教育と訓練をうけ,社会福祉活動に携わる専門家をソーシャル・ワーカーというが,ソーシャル・ワーカーはその対象分野により職種が異なる。現在,社会福祉事業法で定められている社会福祉主事は,生活保護法,児童福祉法,母子福祉法(1981年〈母子および寡婦福祉法〉に改称),老人福祉法,身体障害者福祉法,精神薄弱者福祉法などに定められた各福祉職任用の基礎資格となっている。しかし病院や保健所における医療福祉士medical social workerについては資格制度がないので,患者や障害者のリハビリテーションのために,チームワークの一員として医療の場で働く専門職の必要が説かれている。医療ソーシャル・ワーカーの任務は,各種の社会福祉制度やサービスなどを活用して患者とその環境を調整し,安心して療養生活を送ることができるよう援助するとともに,患者の健康の回復,社会復帰を助けることにある。患者や障害者の問題点解決のためには,リハビリテーション医療チームの重要な職種であるから,そのための教育カリキュラムも提案されている。なお,1987年に制定された〈社会福祉士及び介護福祉士法〉によって,医療業務と切り離した形で社会福祉士と介護福祉士の資格制度が確立され,社会福祉士は国家試験を必要とする資格となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソーシャルワーカー」の意味・わかりやすい解説

ソーシャルワーカー
social worker

社会福祉の事業に従事する,高度の理論と技術を修得した専門職の総称。一般的に,国家資格を有する社会福祉士や精神保健福祉士をさす場合が多いが,資格の有無にかぎらず,その活動領域は医療分野,精神医学分野,福祉分野,教育分野など多岐にわたり,それぞれにおいて呼称はさまざまである。特に保健医療における医療ソーシャルワーカー MSWが知られる。患者・高齢者・障害者やその家族が適切な医療・保健サービスを受けられるように相談窓口となり,心理的・社会的問題の解決や助言,社会復帰への促進・援助,各関係機関との連絡・調整などを行なう。1959年に日本ソーシャルワーカー協会 JASWが結成され,国際ソーシャルワーカー連盟 IFSWに加盟した。

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世界大百科事典(旧版)内のソーシャルワーカーの言及

【リハビリテーション】より

作業療法のプログラムも身体機能改善,認知機能改善,日常生活動作訓練,職業前訓練などであるが,心理的・支持的作業療法として心理面の活動維持に重点を置くこともある。
[ソーシャル・ワーカー]
 ソーシャル・ワーカーはリハビリテーション・チームのなかで,患者のゴール決定とその達成に重要な役割を演じており,心理的・社会的問題点を探り出して解決のいとぐちを与える。問題解決のためには障害者の相談にのり,また他の分野の人々に対して専門的なコンサルテーションも行う。…

※「ソーシャルワーカー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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