田儀(読み)たぎ

日本歴史地名大系 「田儀」の解説

田儀
たぎ

南北朝期からみえる地名。出雲国神門かんど郡に属する。現在の多伎町口田儀くちたぎおよび奥田儀おくたぎに比定される。貞和七年(観応二年、一三五一)二月日の西鳥居兼元軍忠状(閥閲録)に「雲州田儀地頭古荘二郎左衛門尉」とみえる。同状によれば、田儀地頭が波禰はね(現大田市)に討入り、西鳥居らと激戦を展開した。当地は鎌倉初期から神西新じんざいしん庄に組込まれており、承久の乱後は東国御家人の古荘高通が地頭職に補任され、以後代々古荘氏が地頭職を引継いだ(貞応二年一一月二日「関東下知状」萩野由之氏所蔵文書など)。鎌倉末期から南北朝期に至り、神西新庄は稲頼いなより庄・多岐たき郷・田儀の三つに分れたようだが、それぞれの地頭職は一族に分与されたらしい。前掲貞和七年の軍忠状にみえる「田儀地頭古荘二郎左衛門尉」は、この古荘氏一族と推定できる。その後田儀地頭の古荘氏は田儀氏を名乗り、戦国末期に尼子氏が滅亡するまで当地を支配した。応永三〇年(一四二三)一二月一一日の守護奉行人連署奉書(小野家文書)によれば、田儀又法師が日御崎社(日御碕神社)検校職をめぐり同社神官の愛寿丸および杵築大社(出雲大社)の両国造と鋭く対立したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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