田口留兵衛(読み)たぐち・るへえ

朝日日本歴史人物事典 「田口留兵衛」の解説

田口留兵衛

没年元治1.6.28(1864.7.31)
生年享和1(1801)
江戸後期の蚕種製造家。陸奥国伊達郡(福島県)梁川村の豪農田口家に生まれる。通称彦太郎,留兵衛を襲名。それまで蚕は清涼育が一般的であったが,田口家では寛政ごろ火を用いる温暖育を試みたという。本格的に温暖育の研究を始めた留兵衛は,天保期(1830~44)に蚕室を改良して炉を設け,桑の枝を燃やして室中を温め,成育に30日余かかっていたのを28日に短縮し得た。同村中村善右衛門考案の蚕当計(ガラス管と水銀を用いた寒暖計)を用いることにより温暖育は安定,農作業との日程調整が可能になり,農業生産力を向上させた。<参考文献>庄司吉之助『近世養蚕業発達史』,加藤勇治郎『温暖育養蚕要訣』

(丸井佳寿子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田口留兵衛」の解説

田口留兵衛 たぐち-るへえ

1801-1864 江戸時代後期の養蚕家
享和元年生まれ。陸奥(むつ)伊達郡(福島県)梁川(やながわ)村の人。家業の養蚕業をつぎ,火を利用して蚕を飼育する温暖育を改良して飼育期間の短縮に成功した。元治(げんじ)元年6月28日死去。64歳。通称は彦太郎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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