ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーベル1世」の意味・わかりやすい解説
パーベル1世
パーベルいっせい
Pavel I Petrovich
[没]1801.3.24. ペテルブルグ
ロシア皇帝 (在位 1796~1801) 。ピョートル3世とエカテリーナ2世 (大帝)の間に生れ,N.I.パーニン伯の訓育を受けた。皇太子時代に母にうとまれ,そのため彼女を憎み,皇帝となってからは,彼女の行なった多くの政策を取消した。彼はロシアがフランス革命の影響をこうむることを極度に恐れ,書籍の輸入禁止など,西ヨーロッパとの文化交流を断とうとした。内政面では皇位継承を立法化するとともに,農奴の賦役を週3日に制限して,エカテリーナ2世が貴族に認めた特権を制限。外交面ではオーストリアと結んでフランスに対抗したが,のちにフランスと接近,イギリスに敵対して対イギリス貿易に依存する商人・貴族層の反感を招いた。またその神経症的猜疑心と気まぐれは多くの者を敵に回し,ついに 1801年パーレン伯に率いられた近衛士官の陰謀によって暗殺された。
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