田屋庄(読み)たやのしよう

日本歴史地名大系 「田屋庄」の解説

田屋庄
たやのしよう

田屋・府中ふちゆうを含む地域と考えられる。国府膝下にあり、古代より開発された地である。当地一帯と考えられる古代直川のうがわ(和名抄)が荘・郷に分割された後も、永く国衙領田屋郷として存続したと思われる。嘉元三年(一三〇五)八月日付金剛峯寺御影堂奉納文書新定目録下(続宝簡集)に「田屋郷文書八通」とあり、地域全体か否かは別として高野山御影堂が当地になんらかの権利をもった様子がうかがえる。

承安四年(一一七四)一二月日付紀実俊解状案(栗栖家文書)にみえる在庁官人の署名中に「散位忌部宿禰田屋介大夫」とあり、建久三年(一一九二)一二月一日付紀伊国留守所符案(同文書)にも在庁官人として「田屋納所大夫」の署判がある。田屋氏は室町時代に至るまで在地に大きな勢力を保有する。永仁六年(一二九八)二月六日付の田屋安楽寺の坪付注文写(森家文書)に「右件別当職進退田畠等者、親父浄玄之養父故左近入道殿法名西仏房当郷御代官之時、被立置彼免田畠等」とあり、代官職の存在が知られるが、また同注文写の裏書に「堂内之寺役等外者、不可有余公事者也、依於田屋末孫不可有違乱煩者也」とあって、これを記した別当祐聖が田屋一族に連なる者で、彼の父の養父「御代官」の左近入道も一族であったと推測しうる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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