現地または現地を担う人々の意。平安時代前期から広く文書・記録史料などに登場し,中世にかけて広範に用いられた言葉である。〈地に在る〉という表現のしかたからもうかがわれるように,京・国衙(こくが)など中央や官の世界を表現する言葉に対し,地方・現地・民間の意味あいを含む語として用いられた。したがって,在地という言葉でとらえられる世界は,制度的に与えられた郡・公郷・荘園などを示すこともあるが,むしろその枠をとりはらった地方底辺の世界そのものを実態的に指すことが多い。また平安中期以降,律令制の変容に伴ってこの底辺世界そのものが一定の秩序と権威をもつものとして認められるようになると,〈在地〉という語はもっぱらそのようなニュアンスをこめて用いられるようになる。そしてそれとともに,郡司・郷司・荘司などが刀禰(とね)と称して集団でこの実質的底辺世界の秩序と権威を担う者としてあらわれるときは,しばしば在地刀禰,在地郡司などと呼ばれたが,やがてその定着に伴って彼らをも〈在地〉の語だけで表現するようになった。
執筆者:義江 彰夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…前者の用例が地色,地の文などの地に通じ,後者の地が囲碁の地に当たるのであろう。また〈在地〉〈下地〉などの地は,土地の上に生ずる〈作毛〉とそれによる得分とは区別された,土地そのものを指す語であり,土地の売買などの移動に当たって,平安後期には〈在地〉の人の確認を得ることがとくに必要とされた。地主や地子・地利などの語も,この〈地〉に結びついており,京に対する田舎の意の〈地下〉の地も同様である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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