朝日日本歴史人物事典 「田村梶子」の解説
田村梶子
生年:天明5(1785)
江戸後期,上野国桐生の買次商田村林兵衛の妻。寺子屋松声堂を営む。田村家の長女として生まれ,17歳で幕府大奥に出仕,祐筆を務める。文化12(1815)年31歳で帰家し夫林兵衛を迎え,家業にしたがう。松声堂での教え子は100人以上を数え,女子が多かったが男子も教えた。手本として自筆のいろは歌,各種往来物,古今集の写しなどを与え,手習い,初歩の和歌,和文,礼儀作法などを教授した。国学者橘守部より和歌を学び,桐生における有力門人のひとりとなり,師の高い評価を受け,守部の編んだ歌集『下蔭集』には詠草35首が収められている。<参考文献>高井浩『天保期,少年少女の教養形成過程の研究』
(林玲子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報