20世紀日本人名事典 「田辺潔」の解説
田辺 潔
タナベ キヨシ
大正・昭和期の労働運動家
- 生年
- 明治36(1903)年1月2日
- 没年
- 昭和8(1933)年2月14日(発見)
- 出生地
- 北海道釧路市浦見町
- 学歴〔年〕
- 神奈川県立一中中退
- 経歴
- 中学3年の時結核になり帰郷、腺病質を自然療法で克服。社会運動に身を投じ職場を転々。昭和2年横浜市電信号手になるが、3年解雇。新労農党に入り、横浜合同労組に加盟。5年10月富士紡績川崎工場で378人の解雇をめぐって40数日のストライキが発生したが、争議応援にかけつけ、11月16日40メートルの大煙突の上に登り、赤旗を振って演説、会社側の煙攻め、水攻めに耐え滞空5日間。21日天皇お召列車が煙突の下を通るということで、会社側も折れて争議解決。これにより“煙突男”第1号となり、堺利彦が“階級闘争の即興詩人”と賛えたことで知られる。家宅侵入罪で逮捕・起訴され、6年2月懲役3年、執行猶予3年の判決。以後、全協横浜合同労組、ソヴェート友の会、借家人組合で活躍。7年末に行方不明になり、8年2月14日横浜山下橋下で死体となって発見された。絞殺痕があったが警察は溺死と発表した。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報