甲斐叢記(読み)かいそうき

日本歴史地名大系 「甲斐叢記」の解説

甲斐叢記
かいそうき

一〇巻(一〇冊) 大森快庵

別称 甲斐名所図絵

成立 嘉永元年

写本 国立公文書館

版本 山梨県立図書館ほか

解説 大森快庵は田島村(山梨県甲西町)に生れ、江戸で朝川善庵漢学、大窪誌仏に詩を学んだ学者。「富士紀行詩」「楽国雑詞」などの著書のなかでも本書は大著として知られる。巻一・巻二が甲斐国の総説的記述、巻三―巻九は道筋別に記す名所・旧跡山川社寺、巻一〇が武田氏関係雑記となっている。記述内容とともに多くの絵師によって描かれた挿画が貴重で、峡中(甲斐)八珍果などが知られる。前輯として巻五までが嘉永四年に、後輯(巻六―巻一〇)は明治二六年にいずれも内藤伝右衛門によって刊行された。

活字本 甲斐叢書六・甲斐志料集成二

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の甲斐叢記の言及

【甲斐国】より

…後期になってみられる地誌類には野田成方の《裏見寒話》(1752),萩原元克の《甲斐名勝志》(1783)があるが,幕府の内命をうけて1806年に着手され14年に完成した《甲斐国志》は最も基本的史料として代表的なものである。そのほか大森快庵の《甲斐叢記》(1848)や宮本定正の《甲斐の手振》(1850)などがある。甲斐4郡の総人口は1721年(享保6)の29万1168人が,86年(天明6)30万5934人,1872年(明治5)36万0068人という推移を示している。…

※「甲斐叢記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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