化学辞典 第2版 「甲状せん障害」の解説
甲状せん障害
コウジョウセンショウガイ
thyroid hazard
甲状腺は,生体の新陳代謝や成長にかかわる甲状腺ホルモンを合成分泌する内分泌器官の一つで,放射線感受性の高い臓器の一つである.放射線の影響としては甲状腺がん,甲状腺腫がある.甲状腺ではヨウ素が取り込まれホルモンが産生されるが,原子力事故などで環境中に放射性の 131I が放出されると,甲状腺に蓄積され内部被ばくすることになる.そのため原子力事故周辺では,放射能をもたない 127I を予防的に摂取する対策がとられる.甲状腺ホルモンが過剰に分泌され,自己免疫により肥大する甲状腺機能亢進症(バセドウ病)も,甲状腺障害の一つである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報