留守司(読み)るすのつかさ

改訂新版 世界大百科事典 「留守司」の意味・わかりやすい解説

留守司 (るすのつかさ)

古代都城が一時的にうつされた場合に残された京を管理し,安全を確保するために設置された官司。古くは《日本書紀》壬申紀にみえる飛鳥古京の留守司がある。これは天智天皇が近江大津宮に遷都した後,政府の要人ならびに軍事機構が移動したため空白状態になった従来の都,飛鳥の留守を守備するためにおかれたものである。また藤原京から平城京へ遷都するにあたっても藤原京の留守司が設置されており,藤原京内に残された施設を管理したものらしい。藤原京に残った施設はつまびらかでないが,天武紀にみえる小墾田兵庫などはそれにあたるものか。令制では天皇巡幸にあたり皇太子監国などを留守官としている。聖武天皇が平城京を一度すて恭仁(くに)京にうつったさいにも留守司がおかれた。また桓武天皇長岡京から平城へ行幸した際にも留守官がおかれている。以上の例からみて,天皇および政府のいなくなった京を守備し管理するのが留守司の役目であったらしい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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