疋見別符・疋見郷(読み)ひきみべつぷ・ひきみごう

日本歴史地名大系 「疋見別符・疋見郷」の解説

疋見別符・疋見郷
ひきみべつぷ・ひきみごう

匹見町域にあった国衙領。南北朝期まで疋見別符、戦国期には疋見郷といった。引見とも記す(明応一〇年四月一三日「大内義興書状」益田家文書など)東山道ひがしせんどう郷・津毛つも別符・丸毛まるも別符(現美都町)などの南側に位置し、境を接した。元暦元年(一一八四)一一月二五日の源範頼安堵下文案(同文書)に疋見丸毛別符がみえ、藤原(益田)兼栄・兼高父子の所領として安堵されている。建仁三年(一二〇三)一二月日の藤原兼季申文案(同文書)にも、益田氏が領有する国方所領(国衙領)の一つとして「疋見」とみえ、貞応二年(一二二三)三月日の石見国惣田数注文には、上津毛と並ぶ美濃郡内の国衙領として「ひき見まろも 五丁一反百二十卜」がみえる。石見国衙の在庁官人藤原(益田)氏が、古代の美濃郡山田やまだ郷の一部を新たに開発し、その領有権を認められて成立したものであろう。

しかし鎌倉期には益田氏の手を離れていたようで、建武二年(一三三五)二月一二日の後醍醐天皇綸旨(益田家文書)において、改めて益田氏は津毛・疋見両別符を本領として給付されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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