知恵蔵 「発生的制約」の解説 発生的制約 生物の表現型の変異が、その生物の個体発生様式によって制約され、あるいは偏向すること。例えば、植物や無脊椎動物では枝葉や体節の数を増やすような変異は比較的起こりやすいが、脊椎動物では四肢や頭を増やすような変異は発生的制約のために起こりにくい。「個体発生は系統発生を繰り返す」というE.H.ヘッケルの有名な説は現在では誤りであることが実証されているが、それに当てはまるような現象が存在する理由の1つは発生的制約にある。また、1つの遺伝子が2つ以上の器官の表現型に影響を与えることを多面発現と言うが、これも発生的制約の1例とみなすことができる。 (垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by