発生的制約(読み)はっせいてきせいやく(その他表記)developmental constraint

知恵蔵 「発生的制約」の解説

発生的制約

生物表現型変異が、その生物の個体発生様式によって制約され、あるいは偏向すること。例えば、植物無脊椎動物では枝葉体節の数を増やすような変異は比較的起こりやすいが、脊椎動物では四肢や頭を増やすような変異は発生的制約のために起こりにくい。「個体発生は系統発生を繰り返す」というE.H.ヘッケルの有名な説は現在では誤りであることが実証されているが、それに当てはまるような現象が存在する理由の1つは発生的制約にある。また、1つの遺伝子が2つ以上の器官の表現型に影響を与えることを多面発現と言うが、これも発生的制約の1例とみなすことができる。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ローマ法王ともいう。ラテン語 Papaの称号はカトリック教会首長としてのローマ司教 (教皇) 以外の司教らにも適用されていたが,1073年以後教皇専用となった。使徒ペテロの後継者としてキリスト自身の定...

教皇の用語解説を読む