日本大百科全書(ニッポニカ) 「白葉枯病」の意味・わかりやすい解説
白葉枯病
しらはがれびょう
キサントモナス・オリゼ・オリゼXanthomonas oryzae pv. oryzaeという細菌によっておこるイネの重要な病気。九州、四国など西日本を中心に発生する。東南アジアの稲作地帯にも広く分布しており、ミラクルライスとよばれたIR‐8が栽培されるようになってから被害が甚だしくなった。苗のとき下葉に発病して枯れることもあるが、普通、田植後3~4週ごろから発病する。葉の周縁に特徴のある波状の白色ないし黄白色の長い病斑(びょうはん)ができる。台風のあとや水害で冠水したあとに多く発病し、青々とした水田が急に真っ白になることがある。東南アジアでは、クレセック症状と称し、田植直後に苗が萎凋(いちょう)枯死し被害が大きい。病原細菌は、イネの刈り株、被害藁(わら)、もみ、イネ科雑草のサヤヌカグサの根の周囲などで越冬する。イネの品種によって発生の度合いが極端に異なるので、病気に強い品種を選んで栽培するほか、種もみの消毒をして防除する。
[梶原敏宏]