白血球自動分析装置(読み)はっけっきゅうじどうぶんせきそうち(英語表記)blood cell differential analyzer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白血球自動分析装置」の意味・わかりやすい解説

白血球自動分析装置
はっけっきゅうじどうぶんせきそうち
blood cell differential analyzer

ME(医用工学)機器の一つ。血液中の白血球は、染色性と形態の特徴から、好中球(中性好性白血球)、好酸球(酸好性白血球)、好塩基球(塩基好性白血球)、リンパ球、単球(単核細胞)に大分類される。好中球はさらに核の分葉の程度により、またリンパ球は大小により細分類される。自動分析には主として二つの方法が実用化している。一つはパターン認識法で、血液をガラス板に塗抹固定し、染色し、テレビカメラ、フライング・スポットスキャナーなどで、画像情報を取り込み、コンピュータで白血球か否か、白血球の細胞質と核の面積、面積比、形状、色調等を認識し分類計数する。細胞化学法は、ぺルオキシダーゼ、リパーゼ、アルシアン青などの活性を染色し、白血球の機能特性から分類計数する。パターン認識法は医師の顕微鏡観察と同じで、理解しやすいが測定できる細胞数が限られており、処理スピードも遅い。細胞化学法は迅速に多数の白血球を分類計数できるが、臨床医の認知が充分でなく、また検査費用が高いという。細胞化学法に属する技術として、生細胞または染色細胞を高速細管流とし、レーザー光を照射し、散乱光や蛍光から細胞の核酸酵素タンパク質などの量を瞬時に算出し、偏向電極にかける高圧電界を制御して目的とする細胞をえり分ける装置も開発されている。

[古川俊之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例