リパーゼ(読み)りぱーぜ(英語表記)lipase

翻訳|lipase

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リパーゼ」の意味・わかりやすい解説

リパーゼ
りぱーぜ
lipase

中性脂肪エステル結合加水分解して脂肪酸グリセロールを生ずる反応を触媒する酵素で、加水分解酵素の一つ。一価のアルコールと脂肪酸とのエステルを加水分解するエステラーゼを含めてよぶ場合もある。動物組織中に広く存在するが、とくに胃液、膵(すい)液、腸液などの消化液に多量に含まれており、膵リパーゼは脂質分解酵素として重要で、ステアプシンとよばれることもある。弱アルカリ性でもっともよく活性化され、強酸性の胃中ではほとんど作用しない。食物は十二指腸膵液のために弱アルカリ性となり、また胆汁酸の作用で食物中の脂肪が乳濁液になって酵素の作用を受けやすくなる。このほか、とくにリン脂質を加水分解するフォスフォリパーゼがある。なお、植物では種子に比較的多く含まれ、カビ細菌などの微生物にも分布している。

[若木高善]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リパーゼ」の意味・わかりやすい解説

リパーゼ
lipase

トリグリセリド (グリセリンに3分子の脂肪酸がエステル結合している脂肪) のエステル結合を加水分解する酵素の一種。動植物界に広く見出される。一般に脂肪の脂肪酸鎖の長いほうによく作用する。リパーゼには,リポ蛋白質 (血漿中) によく作用するリポ蛋白リパーゼ,エステラーゼ作用をもつリパーゼ,動物脂肪によく作用する動脂性リパーゼ,モノグリセリド特異性の強いモノグリセリドリパーゼなども知られている。

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