目連の草子(読み)もくれんのそうし

改訂新版 世界大百科事典 「目連の草子」の意味・わかりやすい解説

目連の草子 (もくれんのそうし)

室町時代の短編物語。甘露飯王(かんろぼんおう)の太子の目連は,15歳で受戒して僧となるが母を失う。37歳の3月25日,死んで冥途に遍歴し,黒縄地獄の亡母と対面。母は目連に財を与えようとした慳貪(けんどん)の罪で餓鬼に堕し,さらに出家した目連のために大阿羅漢の死を願って地獄に堕していた。4月1日に蘇生した目連は写経供養して母の苦を救い,7月15日に盂蘭盆会(うらぼんえ)を行った。盂蘭盆の起源説話であるが,《盂蘭盆経》や中国の所伝,あるいは《三国伝記》や後代の《目連記》の所伝とは異なる。《地蔵十王経》(《十王経》)の強い影響を受け,また,《冥報記》の慧如(えによ)の説話と共通のモティーフを含むのが特徴である。
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