県犬養八重(読み)あがたいぬかいのやえ

改訂新版 世界大百科事典 「県犬養八重」の意味・わかりやすい解説

県犬養八重 (あがたいぬかいのやえ)
生没年:?-760(天平宝字4)

奈良中期の女官。万葉歌人葛井(ふじい)広成の妻。742年正八位上から外従五位下,745年従五位下に昇叙。748年(天平20)8月21日,聖武天皇は従五位上広成の邸宅に行幸し群臣に宴を賜い,日暮れて留宿し,翌日には広成・八重夫妻に正五位上を授けて帰還した。没したとき,命婦(五位以上の女官)で従四位下であったが,県犬養氏で四位に昇った女官はまれである。
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朝日日本歴史人物事典 「県犬養八重」の解説

県犬養八重

没年:天平宝字4.5.7(760.6.24)
生年:生年不詳
8世紀の光明皇后に仕えて写経事業にかかわった女官。文雅の士葛井広成の妻。県犬甘命婦,犬甘命婦,犬甘八重にもつくる。天平20(748)年8月聖武天皇は広成の宅に宿泊し,広成と妻の八重に正五位上を授けていることからみて,夫婦ともに天皇に厚く信頼されていたらしい。命婦従四位下で卒した。この間,光明皇后の写経事業の宣者を務め,また,天平勝宝3(751)年以前に近江国犬上郡,愛知郡覇流村に東大寺領と隣接して墾田を経営している。<参考文献>『正倉院文書』『寧楽遺文』,野村忠夫『後宮と女官』

(梅村恵子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「県犬養八重」の解説

県犬養八重 あがたのいぬかいの-やえ

?-760 奈良時代の女官。
葛井広成(ふじいの-ひろなり)の妻。光明皇后につかえ,少命婦(みょうぶ),犬養の命婦ともよばれた。天平(てんぴょう)20年広成宅での宴に聖武(しょうむ)天皇が来訪し宿泊,夫妻とも正五位上をさずけられた。のち従四位下。天平宝字4年5月7日死去。

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