一般にはたそがれどき,明るい星が見え始めるころをいうが,貞享暦の採用(1685)によって定着した社会時刻制度(不定時法)では〈明け六つ〉の夜明けとともに,時刻の起点〈暮れ六つ〉を定義するものとして厳密に用いられた。すなわち,貞享暦では,日の出の2刻半前を夜と昼の境目としてその時刻を明け六つ,日没の2刻半後を日暮れと定義し暮れ六つとした。当時の天文学では1日を100等分し,その1を刻と称したので,2刻半は現代の時法で36分に相当する。さらに寛政暦(1798施行)では春分,秋分の日の京都における日出没の前後2刻半の太陽の地心高度が-7°21′40″となることから,季節によらず,太陽がこの高度に達したときを夜明け,日暮れと定義し,時刻の起点とするよう改められた。
執筆者:森 巧
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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