精選版 日本国語大辞典 「眴」の意味・読み・例文・類語
め‐くばせ【眴】
- 〘 名詞 〙 =めくわせ(眴)
眴の語誌
( 1 )中古には目で合図することを「めをくはす」「めくはす」といった。「め」は「目」、「くはす」は「食はす」で、目を合わせる意を表わす。この「めをくはす」は中世には用いられなくなり、「めくはす」「めくはせ」の形のみが残った。→めくわせ。
( 2 )中古には「めくはせ」と清音であったが、中世末には第二音節が濁音化した「めぐはせ」も使われた。近世には第三音節を濁音とする「めくばせ」が現われた。
( 3 )互いに目を交わすというところから「めくばせ」とほぼ同意の「めまじ(目交)」「めまぜ(目交)」も用いられていたが、現在では「めくばせ」が一般的である。
め‐くわせ‥くはせ【眴】
- 〘 名詞 〙 ( 「めぐわせ」とも ) まばたきして意志を伝えること。目を動かして合図すること。めくばせ。めぐばえ。めぐわえ。めくばし。
- [初出の実例]「眴 メクハス メクハセ」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
- 「式部大夫義治は父の義助の勢の中へつと懸入り様に、若党にきっと目くはせせられければ」(出典:太平記(14C後)一四)
眴の語誌
→「めくばせ(眴)」の語誌
め‐くわ・す‥くはす【眴】
- 〘 自動詞 サ行下二段活用 〙 まばたきして意志を伝える。目を動かして合図する。目くばせをする。めくばす。
- [初出の実例]「世をうみのあまとし人を見るからにめくはせよともたのまるる哉」(出典:伊勢物語(10C前)一〇四)
- 「このあぶれ者等も、大蔵なるべしとて、目くはせたるを見て」(出典:読本・春雨物語(1808)樊噲上)