日本歴史地名大系 「矢中用水」の解説 矢中用水やなかようすい 鳥取県:鳥取市旧法美郡地区矢中用水鳥取市の南西部を灌漑する用水。津(つ)ノ井(い)用水とも称される。私都(きさいち)川から取水するもので、郡家(こおげ)町の下峰寺(しもみねでら)に取水口がある。取水口から山裾を通された水は堀越(ほりごし)峠を掘割って引かれ、矢中山に築かれた堰(矢中池)にためこまれて、ここから北流して祢宜谷(ねぎだに)・香取(かとり)・紙子谷(かごだに)・桂木(かつらぎ)・広岡(ひろおか)の扇状地をはじめ、大路(おおろ)川流域をも潤しており、水掛面積は一五〇町歩を超える(千代川史)。用水の開削年代は不明だが、弘治年間(一五五五―五八)杉崎の猪子山(すぎざきのいのこやま)城主と八上(やかみ)郡奥谷(おくだに)(現郡家町)の比丘尼城主の娘との縁組を機に郡境を越えて私都川の水を津ノ井郷へ引くことになったといい(郡家町誌)、これによって津ノ井郷は水不足が解決され郷民は奥谷比丘尼城主の墓参をしたと伝える(因幡志)。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by