改訂新版 世界大百科事典 「石橋里遺跡」の意味・わかりやすい解説
石橋里遺跡 (せっきょうりいせき)
Sǒkkyori-yujǒk
朝鮮民主主義人民共和国,黄海南道竜淵郡石橋里にある無文土器(青銅器)時代の集落と墳墓の遺跡。1959年に発掘が行われ,竪穴住居跡4基と,そこに隣接して,ほぼ同時期とみられる支石墓5基が調査された。住居跡は,いずれも平面が長方形をなすが,炉跡や柱穴はみられない。火災を受けた住居跡の内部から無文土器時代の代表的な遺物が出土している。無文土器は,いわゆる朝鮮ごまに似た形態を示し,壺と甕のセットがみられる。折返し二重口縁部をもち,特に壺の場合はそこに斜めの刻み目をところどころに施すものがある点に特色がある。利器はすべて磨製石器で,短剣,太形蛤刃石斧,柱状石斧,扁平片刃石斧,石鑿,石庖丁,紡錘車,砥石などがみられる。支石墓は,未調査の1基がテーブル形(北方式)であるのに対して,調査済みの5基はいずれも変形もしくは碁盤形(南方式)である。変形というのは,墓室が地下に埋まり,蓋石だけが地上に露出する形式である。地下の墓室は石棺形式である。ここからは遺物が何も出土していない。
執筆者:西谷 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報