石漆(読み)イシウルシ

精選版 日本国語大辞典 「石漆」の意味・読み・例文・類語

せしめ‐うるし【石漆・瀬〆漆】

  1. 〘 名詞 〙 切って水にひたしておいた漆の木の枝からかき取った漆汁。粘りが強く、接着力が強い。転じて、「せしめる」にかけて、うまく手に入れる、自分の物にするの意に用いられた。
    1. [初出の実例]「かきぬるも啓上せしめ漆哉〈一鶴〉」(出典:俳諧・点滴集(1680)三)
    2. 「何ごころなくふとんのあいだをさぐり見れば、四文ぜに壱本あり。〈略〉なんでもこいつ、せしめうるしと、きた八そっと」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四)

いし‐うるし【石漆】

  1. 〘 名詞 〙 漆の枝から取ったままの液。ねばりが強く、石や器具などのこわれたものを継ぐのに用いる。せしめうるし。
    1. [初出の実例]「とんと吸い付いて離れぬ股ぐらの鮑(あはび)、石うるし、石うるし」(出典浄瑠璃・浦島年代記(1722)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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