改訂新版 世界大百科事典 「石綿セメント板」の意味・わかりやすい解説
石綿セメント板 (せきめんセメントばん)
asbestos cement board
アスベスト(石綿)をセメントに混ぜ,強い圧力で板状に成形した後十分乾燥させたもので,石綿スレートとも呼ばれる。薄く軽量で,不燃性,耐久性があるため,外壁の材料に用いられることが多く,内壁や天井にも使用される。平板とフレキシブル板があり,前者が石綿とセメントの割合が15:85であるのに対し,後者は35:65で,成形時の圧力もより大きく,平板に比べ強度,耐火性,防水性に優れ,またたわんでもこわれにくい。化粧石綿セメント板は,素材に顔料を混ぜて着色したり,表面に化粧を施したもので,仕上材としての機能を高めている。表面の化粧方法には,塗装や化粧シートばりなどがある。なお,石綿セメント板と同じ素材を用いて波形に成形したものは,波形石綿スレートといい,安価な屋根ふき材や外壁材として用いられており,このほか,石綿スレート板を表面材とし,芯材に各種材料を用いたサンドイッチ板も製造されている。
執筆者:吉田 倬郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報