印刷によって磁性記録層をつくるためのインキ。1950年代にアメリカで小切手の番号を自動読取りする目的で開発された。凸版およびオフセット印刷用のインキがあるが,インキ中に,元来インキ用顔料としての適性のないγ磁性酸化鉄の微粒子を多量に配合しているため,印刷作業性は悪い。70年代には,各種カード類,貯金通帳などに帯状の磁性記録部分を印刷するようになったが,これには例外なくスクリーン印刷方式が用いられ,印刷後,乾燥したインキ表面にカレンダーをかけて平滑にしている。また,70年代初期にアメリカで高保磁力の磁性体を用いたオフセットインキが開発され,有料道路通行券や駐車券の印刷に実用化された。磁性体としては,バリウムフェライトなどを用い,磁性記録層と,文字,数字などを同じ磁性インキで同時に印刷する。
執筆者:高木 登志男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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