化学辞典 第2版 「磁気円二色性」の解説
磁気円二色性
ジキエンニショクセイ
magnetic circular dichroism
光学的に不活性な物質がファラデー効果によって示す円二色性.磁気円偏光二色性ともいう.円二色性や旋光分散が現れるのは,分子内に不斉中心をもつ物質に限られるが,分子に不斉中心のない物質でも静磁場をかけると,ファラデー効果のために円二色性を示すようになる.すなわち,磁場と平行に進む円偏光に対して,左まわりおよび右まわりの偏光に対する吸収係数が異なり,円二色性現象が現れる.これを磁気円二色性または略してMCDという.MCDスペクトルは左右円偏光に対する吸光度の差を測定することによって得られる.この大きさは,分子の基底状態と励起状態の磁気モーメントに関係する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報