磨墨(読み)するすみ

精選版 日本国語大辞典 「磨墨」の意味・読み・例文・類語

する‐すみ【磨墨・摺墨】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 磨(す)って使うところから ) 書画に用いる墨。また、墨の色。
    1. [初出の実例]「するすみにすずりのいしのつぶるまでかくともつきじおもふうれへは」(出典:風情集(1178頃))
    2. 「女のつけた振袖に、紛たる模様の尽きて、是非もなき磨墨に流れ込むあたりに、おのが身の素性をほのめかして居る」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉六)
  2. [ 2 ] 源氏武将梶原景季が源頼朝から賜わった名馬の名。寿永三年(一一八四佐々木高綱生唼(いけずき)と宇治川の先陣を争ったことで有名。
    1. [初出の実例]「鎌倉殿〈略〉梶原にはする墨をこそたうだりけれ」(出典:平家物語(13C前)九)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の磨墨の言及

【ウマ(馬)】より

…黄褐色の馬は〈かわらけ〉といって金沢藩はこれを飼うと怪異があるとしてきらった。古来の名馬には青黒色のものがあったらしく,代表的なものに池月(いけづき),磨墨(するすみ)がかぞえられる。これは《平家物語》の宇治川の先陣争いの話などから著名になったらしいが,現在でもこの種の名馬の出生地という伝説が石に残る馬蹄の跡(馬蹄石)などを証拠として語られている土地が各所にある。…

※「磨墨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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